「千貫樋」を訪れてみた

千貫樋(せんがんどい)

おそらく、多くの方は聴いたことのない言葉だと思います。
静岡県の三島市と清水町に跨って存在している遺構ですが、地元民である私ですら、知ったのはつい最近だったりします。決して知名度が高いとはいえませんが、全国的にも貴重な遺構だったので、休日を利用して取材に行ってきました。

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静岡県道145号線の清水町と三島市の境界付近にある「千貫樋」交差点。交差点のすぐ脇には「千貫樋」という停留所もあり、沼津登山東海バスと伊豆箱根バスが停車します。ちなみに、この県道145号線は旧:東海道でもあるため地元では"旧道"と呼ばれており、バスの行き先にも"旧道経由"と表示されます。
この辺りはよく通るので「千貫樋」という言葉自体は知っていましたが、ずっと地名だと思っていました。


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「千貫樋」交差点から三島市方面へ進むと、"境川橋"という小さな橋を渡ります。現在は、この橋を境界として西側が清水町、東側が三島市となっていますが、実は"駿河国"と"伊豆国"の国境でもあったという過去を持っています。ちなみに、竣功は昭和4年とかなり歴史があります。

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そして、この境川橋の欄干に設置されている看板がこちら。境川と千貫樋についての説明が書かれています。
これによると、付近の農地に水を疎通させるために、境川に架けた樋が「千貫樋」のようです。なんと、初代の千貫樋は1555(天文24)年に架けられたというから驚きです。

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境川橋から下を見てみると、確かに水の流れがあります。これが千貫樋かと思いきや、これは境川で、千貫樋は上のほうにチラッと見えている・・・


PIC_8506_20131111214926627.jpg  コレ
このコンクリートの橋のような物体が千貫樋の正体です。うっすらと「千」の文字が見えるので、以前は「千貫樋」と書かれていたのでしょう。しかし、この位置からはあまりにも見えなさすぎる・・・。長さが42mと書いてあるのに、見えている範囲はせいぜい2m程度というw

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というわけで、今度は反対側から見てみることにしました。住宅地の中を進んでいくと、住宅の合間を横切る千貫樋を見ることができましたが、あまりにも住宅地に囲まれていて、まったく目立っていません。

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どうにかもう少し近くで見られないかと歩いていると、こちら側にも千貫樋の案内板を発見しました。書いてあることは先ほどの案内板とほぼ同様ですが、先ほどの案内板は清水町が設置したのに対し、こちらは三島市が設置したものとなっており、どことなく財力の差を感じてしまいますw

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そして、どうも案内板の脇の通路から千貫樋に近付けそうなので、進んでいくことにします。住宅地の路地を入るのはあまり良い気分ではありませんが・・・。


PIC_8564.jpg ktkr!
千貫樋の真下に出ることができました。
現在の千貫樋は、関東大震災後に造り直されたもので、竣功は大正末期から昭和初期と思われます。つまり、少なく見積もっても築80年ほど経っているわけです。案内板によると、高さは4,2mと以外に高いです(写真で低く見えているのは、通路が地面より高いためです)。
さらに、その先には階段があったので、登ってみると・・・


千貫樋3
千貫樋の全貌を見ることができました! 案内板によれば、幅1,9m、深さ45cmとのことで、竣功した時代を考えれば、規模は大きいほうなのではないでしょうか。千貫樋は未だに現役で、しっかりと水が流れています。富士山のお膝元ということもあり、水はかなり澄んでいます。

千貫樋2
そのまま少し後ろに下がると、千貫樋の始点を見ることができました。通常の水路部分とは側面の処理が異なっているのが分かります。また、いかに急激に地形が変化しているのかも目に見えて分かり、千貫樋が必要不可欠であることを感じますね。

千貫樋1
ちなみに、千貫樋の反対側(三島市側)を見てみると、少し幅は広いものの、いたって普通の水路にしか見えません。

千貫樋4
階段を降り、今度は終点側(清水町側)を見に行きましたが、途中で境川に阻まれ、さらにその先には建物が密集しており、残念ながら見ることはできませんでした。ただ、42mという延長を考えると、この写真の少し先あたりが終点だと思われます。

千貫樋5
参考までに、先ほどの始点から終点方向をズームして撮影した写真です。
奥のほうで水路が右へカーブしているのが分かると思いますが、そのカーブの前までが千貫樋のようです。また、理由は分かりませんが、境川を跨ぐ付近で千貫樋の側壁が一段高くなっているのも分かります。

PIC_8487.jpg
ちなみに、千貫樋を渡ったあとは、このような何も変哲の無い水路が続きますw


というわけで、千貫樋の調査を終えました。
やはり、個人的には立地条件が非常に悪いように感じました。過去には県道145号線からも千貫樋が見渡せ、場所によっては千貫樋をほぼ一望できたようですが、近年の土地開発によってこのような状態になってしまったようです。とはいえ、当時から貴重な物件であることは分かっていたでしょうし、建物を建てる際にもう少し配慮はできなかったのでしょうか? なかなか知名度が上がらないのは、この辺りに原因があるような気がします。
また、千貫樋自体が築80年ほどが経過し老朽化が進んでいることもあり、今後の対応が問題となっているようです。ただ、三島市・清水町ともに案内板を設置するなど、千貫樋を知ってもらおうという取り組みは見られるので、今後もぜひ保存していただきたいものです。とりあえず、境川橋から見た時に消えかかって読めなくなっている「千貫樋」の文字はどうにかしたほうがいいかと・・・。

なお、千貫樋の名前の由来ですが、案内板にも書いてある通り、

・架設が巧みなため千貫の価値がある
・この用水が千貫の田畑を潤している
・建設費が千貫であった

など、諸説あるようです。





大きな地図で見る
最後に、千貫樋の場所をご案内します。この地図の中心付近に千貫樋があります。付近に駐車場などはなく、狭い道路も多いので、徒歩・自転車や公共交通機関の利用をおすすめします。伊豆箱根鉄道の三島広小路駅からも歩ける距離です。
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